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複素解析・複素関数論の講義ノートPDF。演習問題と解答つきのオンライン教科書


複素関数論の,独学用の講義ノート・PDF。院試対策の問題と解答つき。


複素函数論を学ぶ際のスタンスは,

  • 複素解析を「使う側」(工学)と
  • 複素解析を「証明する側」(純粋な数学)

の2手に分かれる。

※それぞれ「関数」と「函数」のように書き分けることが多い。

(1) 工学・計算のための「複素解析」

  • 範囲:たいてい「留数定理を使った複素積分」まで。
  • 対象:物理学や情報科学での応用。とくにフーリエ解析や,特殊関数論。
  • スタンス:複素解析を「使う側」

(2) 数学的に厳密な「函数論」

  • 範囲:複素函数の解析接続やリーマン球面上の函数,コホモロジーなど。
  • 対象:数学を専攻する人向け。
  • スタンス:複素解析を「証明する側」


複素解析は,理工系の応用数学の必修科目。

複素関数を積分すると,実関数では不可能だったフーリエ積分が可能になる。


またピュアな数学においても,「函数論」で関数の性質を調べるには

やはり複素数まで広げて考える必要があるのだ。


このような(1)理工学での応用 (2)純粋数学 という分類にしたがって,

下記に独学用のPDFノートを掲載する。


※なお前提として,実数の解析学の基礎はこちらから勉強できる。フーリエ解析のノートも参照。

※ハイレベルな発展として,「多変数複素関数論」 も見ておくとよいだろう。

(1) 理工学・計算のための,わかりやすい「複素解析」

これがわかれば,理工学上の計算はできる。


「留数定理を使った複素積分」までで話が終わっているPDF:

8時間で解る複素関数論入門
http://www1.bbiq.jp/nagamine/math/5/p...

  • 20ページ。内容に無駄がない。複素積分の計算だけならこれでよい。

  1 複素関数
  2 複素関数の微分
  3 複素関数の積分
  4 テイラー展開とローラン展開
  5 留数定理


複素関数を学ぶ人のために
http://collie.low-temp.sci.yamaguchi-...

  • 山口大,84ページ。オーム社から同名のテキストが発売されている。
  • 引用:厳密さよりも,論理の流れをつかむこと,話の大筋を理解することを重視しています。要するに,何故その定理が成り立つのか,その理由がだいたい分かればよいと考えています。

  第1章 複素関数
  第2章 複素関数の微分
  第3章 複素関数の積分
  第4章 複素関数の展開と特異性
  第5章 留数定理


複素関数の基礎のキソ
http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~kawah...

  • 128ページ,名古屋大。説明は初歩的に噛み砕いている。
  • 引用:れから学ぶ複素関数論を自転車(工)学にたとえると,われわれの目標は3から4のあたりに相当します.自転車の開発者であれば5のような知識も要求されるでしょうが,どちらかといえばユーザーサイドの専門家,頼れる街の自転車屋,といった感じでしょうか.... わたしたちは複素関数論のあらゆる定理に,完全に論理的な(すなわち普遍的であり,客観的な)証明をつけることができます.それは自転車の専門家が,自転車のしくみを5のレベルまで説明できることに似ている.それでも,ふたつの車輪だけで走る自転車はどこか不思議なものです

 1講 複素数と複素平面
 2講 オイラーの等式と指数関数
 3講 指数・対数関数と複素べき
 4講 三角関数・関数の連続性
 5講 複素関数の微分
 6講 コーシー・リーマンの方程式
 7講 コーシー・リーマンの応用・複素線積分
 8講 コーシーの積分定理
 9講 積分定理の応用
 10講 コーシーの積分公式とその応用
 11講 べき級数展開
 12講 留数定理
 13講 実積分への応用


A First Course in with Applications
http://math.science.cmu.ac.th/206437/...

  • 517ページもあるカラーのすごい教科書。タイのチェンマイ大。数学が専門でない人でも詳しく学べるように書かれている。

 Chapter 1.Complex Numbers and the Complex Plane 1
 Chapter 2.Complex Functions and Mappings 49
 Chapter 3.Analytic Functions 141
 Chapter 4.Elementary Functions 175
 Chapter 5.Integration in the Complex Plane 235
 Chapter 6.Series and Residues 301
 Chapter 7.Conformal Mappings 389


A First Course in Complex Analysis
http://math.sfsu.edu/beck/papers/comp...

  • 127ページ,サンフランシスコ州立大。内容は初等的だが工学の匂いがない。

 1 Complex Numbers 1
 2 Differentiation
 3 Examples of Functions 28
 4 Integration
 5 Consequences of Cauchy’s Theorem 58
 6 Harmonic Functions 69
 7 Power Series
 8 Taylor and Laurent Series 90
 9 Isolated Singularities and the Residue Theorem 103
 10 Discrete Applications of the Residue Theorem 116


問題と解答(院試対策):

数学解析III 講義資料
http://www.cc.miyazaki-u.ac.jp/yazaki...

  • 宮崎大。試験の問題と解答あり。範囲は複素積分・特異点と留数まで。


東工大 物理数学第一
http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto...

  • レポートの略解つき。留数定理,解析接続まで。


複素解析 実定積分への応用
http://mathmatica.web.fc2.com/college...

  • 個人的に作成された大学数学の基礎問題集,9ページ。留数を使った複素積分。



Webページとして閲覧できる資料:

EMANの物理数学 複素関数論
http://homepage2.nifty.com/eman/math/...

  • 言葉による説明が詳しい。

    複素数とは何か
    複素微分
    オイラーの公式
    複素積分
    コーシーの積分定理
    コーシーの積分公式
    一致の定理
    対数関数の解析接続
    特異点
    ローラン展開
    留数定理
    実数積分への応用


複素関数論入門
http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp...

  • 芝浦工業大。計算の演習問題と解答つき。

 複素数
 複素関数
 正則関数
 複素積分
 展開と留数


ときわ台学/複素関数論/複素解析学/講義ノート目次
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/...

  • 留数を使った積分計算が目標。

  1 複素数とガウス平面
  2-1 複素1次関数
  2-2 複素指数関数と対数関数
  3 正則関数 
  4 複素ベキ級数関数
  5 複素関数の積分
  6 コーシーの積分定理
  7 コーシーの積分表示 
  8 複素関数のテイラー展開
  9 ローラン展開
  10 留数定理 


工学的な応用(フーリエ解析など):

応用情報数学II講義ノート
http://matha.e-one.uec.ac.jp/~naito/o...

  • 電通大,103ページ。フーリエ変換の複素解析学的な基礎。

  第1章 テーラーの定理
  第2章 関数論
  第3章 フーリエ級数


複素関数論の応用
http://staff.miyakyo-u.ac.jp/~h-uri/b...

  • 68ページ,宮城教育大。流体力学および数値積分などの応用。
  • 引用:本テキストでは、複素関数論の基礎を既知として、複素解析の具体的な応用のいくつかを紹介する(計算機による実験を含む)。

 1 複素数演算
 2 複素数関数の可視化
 3 2次元流体力学
 4 数値解析特論


Lecture Notes for Complex Analysis
https://www.math.lsu.edu/~neubrand/no...

  • 32ページ,ドイツのチュービンゲン大。半群,ラプラス変換,素数論,べき級数,たたみ込みなど。

 CHAPTER 3: THE BENEFITS
 3.1 Norm-Continuous Semigroups
 3.2 Laplace Transforms
 3.3 Strongly Continuous Semigroups
 3.4 Tauberian Theorems
 3.5 The Prime Number Theorem
 3.6 Asymptotic Analysis and Formal Power Series
 3.7 Asymptotic Laplace Transforms
 3.8 Convolution, Operational Calculus and Generalized Functions



動画で勉強する:

慶応大とMITの,「複素解析学」のオンライン講義動画をYoutubeで
http://study-guide.hatenablog.jp/entry/20140602/p1

(2) 数学的に厳密な「函数論」

厳密な議論をがっつり勉強できるノート。

位相・基本群・写像・特異値・特殊函数などの観点で,複素函数を深く掘り下げる:

複素解析学特論
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/publicati...

  • 東大数学科,118ページ。
  • 引用:当時の3年生向けの複素解析学の講義の標準は,教養課程で既に学んだ一変数関数論を踏まえ,解析接続を用いながら一変数解析関数の概念の導入を行い,その到達点としてRiemannの写像定理(一意化定理)を説明する所にあった.... 講義では,解析関数(正則関数)の概念を一般の次元で導入して,一変数及び多変数の両者を並行して議論できる所は一般的議論を行う一方,一変数あるいは多変数に特徴的に現われる現象をトピックとして取り上げていくと言う方針を取った

第1講4月20日1
 1.1 Cnの位相.1
 1.2 正則函数.1
 1.3 羃級数.4
 1.4 Cauchy–Riemannの関係式.6
 1.5 最大値原理.9
第2講4月27日11
 2.1 陰函数定理,逆写像定理.11
 2.2 1点において双正則な写像.14
 2.3 双正則写像,等角写像.15
第3講5月4日19
 3.1 解析接続.19
 3.2 羃級数による解析接続.21
 3.3 正則領域.22
 3.4 正則函数の芽のなす層.25
第4講5月11日27
 4.1 曲線に沿った解析接続.27
 4.2 基本群.31
第5講5月18日37
 5.1 基本群についての補足.37
 5.2 正規族.37
 5.3 Riemannの写像定理.40
 5.4 Vitaliの定理.44
第6講5月27日47
 6.1 境界の対応.47
 6.2 準備.47
 6.3 定理の証明.51
第7講6月1日55
 7.1 Schwarzの鏡映原理.55
 7.2 除去可能特異点(1変数の理論).56
 7.3 多変数の場合の局所理論について.59
第8講6月8日63
 8.1 Weierstraßの予備定理.63
 8.2 Weierstraßの割算定理.65
 8.3 OnがUFDであること,Noether環であること.66
第9講6月15日69
 9.1 超曲面とRiemannの除去可能特異点定理.69
 9.2 有理型函数.72
 9.3 1変数の有理型函数.74
 9.4 Mittag-Lefflerの定理.75
 9.5 Weierstraßの因数分解定理.77
第10講6月22日81
 10.1 Γ函数.81
 10.2 Stirlingの公式.86
第11講6月29日91
 11.1 Cousinの問題.91
 11.2 Dolbeaultのコホモロジー群.93
 11.3 Dolbeaultの補題とその帰結.94
第12講7月6日103
 12.1 Riemann面,特に楕円曲線.103
 12.2℘函数.106
 

関数論
http://akagi.ms.u-tokyo.ac.jp/CAMPUS/...

  • 東大の数学科。329ページもある
  • 引用:複素解析IにはCauchyの積分定理や留数定理,調和関数などが含まれている.複素解析IIでは,Cauchyの定理の復習から始めるが,単位円の正則自己同型群の構造についても既習の内容と一部重なる。Riemannの写像定理が複素解析IIでの最初の重要な目標である.調和関数についてもより詳しく学ぶ

  1. Cauchyの積分定理
  2. 正則写像
  3. 調和関数
  4. 境界の対応
  5. 分数展開と積表示
  6. 解析接続
  7. 多変数正則関数
  8. 近似定理とコホモロジーの消滅
  9. Hyperfunctions
  10. 楕円関数
  11. 複素領域での微分方程式
  12. 合流型超幾何特殊関数
  13. 直交多項式
  14. Legendre関数
  15. 周期ポテンシャルをもつ微分方程式
  16. 連分数


Complex Analysis
http://www.math.harvard.edu/~ctm/pape...

  • 106ページ,ハーバード大。リーマン面,等角写像,楕円函数。

  1 Basic complex analysis . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1
  2 The simply-connected Riemann surfaces . . . . . . . . . . . . 27
  3 Entire and meromorphic functions . . . . . . . . . . . . . . . 39
  4 Conformal mapping . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 56
  5 Elliptic functions and elliptic curves . . . . . . . . . . . . . . 79



演習問題と解答:

複素解析学 I+演習
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hirachi/...

  • 東大。演習問題の問題と解答。
  • 内容:正則函数,一次変換,グリーンの定理,リュービルの定理,複素積分全般,リーマン球面上の函数,ホモトピー,留数計算。


多変数の複素解析:

変数の複素関数論の入門講義
http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp...

  • 13ページ,広島大。
  • 引用:このノートでは,複素領域での多変数の正則関数の基礎的な性質を解説する.次を読者に理解させるのが目的である.局所的に考える場合は,「正則関数を扱うこと」と「収束べき級数を扱うこと」とは同値である.一変数の正則関数の基礎的事項(2,3年次の複素関数論)は既知とする

 1.形式的べき級数と収束べき級数
 2.多変数の正則関数とは?
 3.テイラー展開
 4.一致の原理
 5.部分テイラー展開



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