エンジニアとして,成功するための5つの秘訣 (3つのIN,2つのOUT)
開発者・エンジニアが,自分の仕事を成功させるためにはどうしたらよいか。
言いかえれば,「幸福なエンジニア」になるには,どうしたらよいか。
この手のエンジニア向けの情報源は山ほどあり,把握しきれない。
しかし,あらゆるノウハウは,5つに分類できる。
3つのインプット:
- (1)健康と体力を意識し続ける。
- (2)仕事術を実践し続ける。
- (3)技術を収集し続ける。
2つのアウトプット:
- (4)収集した事柄を,毎日書きためる。
- (5)資格などの,自分なりのマイルストーンを目指し続ける。
本エントリでは,この「分類」の概要を示す。
以下詳細。
なお,この「5つの分類」では,1つ前の項目が,次の項目の前提事項となっている。
(1)〜(3):3つのINPUT
自分が知識を収集し,意識し,身に付けていくべき事柄(インプット)。
(1)健康と体力を意識し続ける。
身体的な「もとで」が無ければ,何もうまく行きはしない。
健康と体力は大前提であり,活動の基盤となる。
関係する要素
- 十分な休息。
- 生活のリズム,すなわち睡眠。
- power nap(15分のプチ昼寝)
- 身体的な健康。
- 病気(風邪とか)や事故の予防。
- 生活習慣。
- 短期的な症状:あちこちの痛み。肩こり,腰痛,眼の痛み,歯,胃腸。
- 長期的な症状:肝臓など臓器,糖尿病など。
- 食生活。
- 精神的な健康。
- ストレス-マネジメント。
- リラックス,趣味。
- うつ病。
- 体力作り。
- 運動。
- 書籍:「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか 」(幻冬舎新書)
- ジョギングやジム通いが無理なら,昼休みにウォーキングの習慣を。
これが欠けるとどうなるか
こういった事に関心を持たない人間は,何事も長続きしない。
一時的に「頑張っている」ように見えても,その頑張りのせいで自分の首を絞め,いつか壊れてしまうかもしれない。
あるいは,まともなパフォーマンスを出さず,メリハリがなく,ダラダラと作業し続ける傾向を持っているかもしれない。
逆に,健康や体力を気にし過ぎると,本業がおろそかになる。
「健康であること」は,最終目的ではないはずだ。
「得た健康を使って,何をするのか?」を考えるべきだろう。
情報のサンプル
要領よく働いて睡眠時間を確保しよう
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/C...
- ウサギと亀の話は長期戦では逆転する。よく睡眠を取って,要領よく仕事をこなせ。
眠いとき我慢しない「プチ昼寝」は大正解
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/C...
エンジニアが目を傷めてしまうのを防止するために(目疲れ+眼精疲労の予防と対策)
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20100124/p1
体に良い座り方、いす選びのポイント
http://jibun.atmarkit.co.jp/llife01/s...
- 前かがみは×。頻繁に「座り直し」をするのは○。
書籍:
(2)仕事術を実践し続ける。
行動を改善するための方針である。「仕事術」全般。
また,社会人としての基礎的な部分。
(1)で考えたような「利用可能な身体」があることを前提事項とし,(2)では,その身体を「どのように用いるか?」を扱う。
関係する要素
- ライフハック。
- GTD。
- web:lifehacker.jpや,lifehacking.jp。また,例えば「シゴタノ!」。
- マナー。
- 社会人のルールや,常識。
- 書籍:「仕事のルール」がマンガで3時間でわかる本
- 対人関係。
- コミュニケーション。
- リーダー論。…チームや部下をどう扱い,育てるか。「プロジェクトマネジメント」の一歩手前の,人間的な側面。
- 仕事論。
これが欠けるとどうなるか
こういった事に関心を持たない人間は,ひたすら仕事の生産性が悪かったり,単なる技術オタクだったりする。
逆にこればっかりやっていると,方法論を追求するあまり,中身が伴わない。
また,理想の状況を追い求め過ぎて,欲求不満になるかもしれない。
ノウハウを自分ではなく他の人に当てはめてしまうと,問題が起きやすい。
例えば,「あの人は能率が悪い」という事に注目するあまり,批判的になり,嫌悪感さえ感じるかもしれない。
こういうのはかえって,本人にとってストレスを増やしてしまう事になり,不幸である。
あくまで自分に当てはめて,自分が実践するようにする。
情報のサンプル
毎日2時間を節約するための15のコツ + α
http://lifehacking.jp/2007/10/time-sa...
- 最も不快なタスクを先に片付ける
- 仕事の重心は午前に
- 常に先を読む:5分後・今日の午後・明日・来月・来年に自分は何をしているか?
“仕事が速い人”の7つの特徴
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/W...
- あらかじめ批判されることを想定して話す(「応酬話法」)
- 常にアウトプットする
「この人無能だな」と思われる人の3つの特徴
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn...
- 批判だけで斬新な解決案を持ち出さないなら無意味
新人SEの心得
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/a...
- いやな仕事ほど取り組み方が注目されている
- 自分で仕事を取りに行け
初心者SEの心得 10ヶ条
http://www.page.sannet.ne.jp/yamato99...
- 作業記録を残せ
- 分からないなら、明日考えろ
書籍:
(3)技術を収集し続ける。
技術がなければ,技術者ではない。
また,いま持っている技術もすぐに古くなる。技術面で成長し続けないなら,すぐ使い物にならなくなる。
前項(2)で取り上げたのは,職種を問わず必要な,普遍的な考え方。
この(3)で取り上げるのは,自分の「専門分野」に関する事柄。つまり,具体的なスキル。
関係する要素
- フロー型の知識。
- 時代や環境の変化とともに価値が高くなったり,価値が低くなったりする事柄。
- 新しい言語や,新しいツールなど。
- 「LotY」:Language of the Year。毎年,1つのプログラミング言語を新たに習得するということ。(参考)
- 書籍:最新の話題を扱った雑誌など。立ち読みも○。「WEB+DB PRESS」,「Software Design」,「日経ソフトウェア」
- web:自分なりの巡回経路・情報の入手経路を確立すること。たくさんあるが,例えば,大手ニュース系のサイト(Codezineとか)に加え,InfoQ 最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ,Public Keyなど。
- ストック型の知識。
- 時代や環境の変化によらず,常に価値があるようなスキル。
- 設計技法や,開発プロセスなど。
- 書籍:「達人プログラマー」,「アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣」,「情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方」
これが欠けるとどうなるか
「口先だけの人」になる。
「実行するだけのスキルが無いにも関わらず,大言を吐いてしまい,その結果プロジェクトをデスマーチに陥れてしまう」という事も生じうる。
フロー型のスキルしか持っていない人は,開発プロセスの全体像が分かっていない。
なので,スケジュール上の判断が甘い。
その人は,プロジェクト管理上のリスクになってしまう可能性がある。
ストック型の知識しか持っていない人は,時代の変化について行けない。
色々知ってるわりに,具体的な作業が全然できない。
「偉そうな割に,使えない」という人になってしまう。
逆に,技術面だけに特化してしまうと,単なる「技術オタク」になり,人間として扱いづらい人になってしまう。
つまり,遅かれ早かれ,仕事を失うということである。
情報のサンプル
今,Web技術者が「食べていく」ために必要な3つのスキル
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20080930/1222796966
市場価値の高い言語は?
http://www.atmarkit.co.jp/news/200902...
- 求人数はJava、年収はC#がトップ
プログラマーを採用する際に重視すべき10の資質
http://japan.zdnet.com/sp/feature/07t...
- 1:好奇心
- 3:速読力と理解力
- 「プログラマーの生産性という観点で見た場合、コードのタイピング速度はあまり重要ではない。プログラマーの1日の大半は、読むという作業に費やされるのである。」
- 6:自己学習能力
- 10:上司をたてられるか?
ハッカー養成塾
http://d.hatena.ne.jp/higepon/2007040...
- 道具にこだわれ
- コードを書いたら公開しろ
- 古典・名著を読め
ハッカーになろう (How To Become A Hacker)
http://cruel.org/freeware/hacker.html
- linux(UNIX)と,英語。
- 「(Python, Java, C/C++, Perl, LISP)を勉強しておく。これらはもっとも重要なハッキング用言語」
ITproの「selfup」カテゴリ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/selfup/in...
- ITパーソンに向けて、スキルアップやキャリアアップに役立つ記事を提供します。
(4)〜(5):2つのOUTPUT
ここからは,アウトプットについて述べる。
(4)収集した事柄を,毎日書きためる。
「毎日,小さな進歩を積み重ねる」ということ。
前項の(3)で吸収した技術を,この(4)で「蓄積して形に残す」のだ。
この際,蓄積の形態が「検索性が高いこと」は重要なポイント。
チリが積もっている所で,それら蓄積した物があとから取り出しやすくなっていれば,仕事のスピードは毎日上がってゆく。
関係する要素
- ブログ。
- 例えば,その日のコーディング作業で新しい関数を使ったら,その日の終わりに自分のブログに,小さなサンプルコードを投稿する。
- もし人に見られたくなかったら,プライベートモードでブログを運用すればよい。
- ソーシャルブックマーク。
- はてなブックマークとか。数えきれないほど多くのWebサイトを目にしても,それだけでは忘れてしまう。役に立つサイトをクリップして蓄積してゆく。
- 「ブックマークが一定量までたまったら,その内容を体系的に整理して,ブログに投稿する。」というのは良いサイクル。
- 自分のwiki。
- 「ネット上にある,自分のメモ帳」という認識。
- 日記や手帳。
- 紙媒体も役立つ。ただし,どちらかというと「技術上の進歩の蓄積」ではなく,(2)の「仕事術」に近い使い方になると思われる。スケジューリングとか。
これが欠けるとどうなるか
自分のスキルが向上してゆくための,自分なりの「仕組み」をもし持っていないとしたら,
その人の進歩は行き当たりばったりなので,成長しない。
その人に対して何か教えても,どうせしっかり身につかず,忘れる。
学んだ労力や教えた労力が無駄になる。
そして,成長するという見込みがないのであれば,「この人に投資する価値はない」と見切りをつけられることになる。
しかし逆に,技術を収集する事に対してあまりに多くの労力を割き過ぎて,目標を見失ってしまう場合もある。
技術の「コレクション」は,最終目的ではないはずだ。
何かしらのゴールやマイルストーンを達成するための「手段」,それが技術であるはず。
情報のサンプル
「毎日マインドセット」で人生の最小単位「毎日」をカイゼンする
http://lifehacking.jp/2007/12/everyda...
- 毎日を楽しむ
- 毎日を小さな一歩と見る
- 毎日の習慣を絶やさない
(5)資格などの,自分なりのマイルストーンを目指し続ける。
数カ月以上の単位での,中規模の目標。
前項までの(1)〜(4)を行なっていくための,すべての動機づけとなるもの。方向性。
仕事上の出来事,例えば「プロジェクトのカットオーバー」「納品」なども,確かにマイルストーンだ。
しかし,それだと,仕事が「目的」になってしまう。
ここでは,「自分なりの」マイルストーンを持つことを勧める。
そして,そのマイルストーンを達成するための手段の一つが,仕事なのである。
関係する要素
- 資格の取得。
- IT関連の資格。
- 語学の資格。
- 役職や立場の取得など。
- あるいは,「ドリームライン」の設定。
- 「自作のOSSのリリース」とか,「海外旅行」とか,いろいろあるはず。
これが欠けるとどうなるか
目標がなければ,日々の行動や決定の方向性が立たず,結局なにも成し遂げられない。
逆に,これだけに傾倒してしまうと,将来を夢想するだけで,目の前の小さな事をおろそかにするようになる。
手を付ける順序としては,以下のような4ステップが考えられるだろう。
- とっかかりとして,とりあえず自分の興味のある点について(4)の小アウトプットを頑張ってみる。
- そのうち,自分のやりたいこと,中期目標が見えてくる。(5)のマイルストーンが設定できる。
- 設定したマイルストーンに合うような(4)をさらに続ける。
- (5)が達成される。また新しく(5)を設定し直す。
情報のサンプル
主なIT資格の一覧とリンク集
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20101225/p1
情報処理技術者試験
http://www.jitec.ipa.go.jp/
- 例えば,
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- データベーススペシャリスト
ITILファンデーション (v2+v3) 試験対策リンク集(模擬試験問題集や独学用の解説サイトなど)
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20100618/p1
ミニ・ドリームライン:仕事の合間にいきなりバケーションへ
http://lifehacking.jp/2007/10/vacatio...
- 3〜6ヶ月先に到達可能な目標を
- いつかやろうではなく今に引き寄せるように
まとめ
これらの5パターンは,暗記しておこう。
各パターンのキーワードは,それぞれ
- 健康
- 仕事術
- 技術
- 小アウトプット
- マイルストーン
というものだ。
今後,
- 「自分の仕事を改善したい」
- 「仕事をより楽しみたい」
と思った時,いろいろなアドバイスに出会うことになるだろう。
それらのアドバイスは,今回取り上げた5パターンのどれかに必ず分類される。
つまり,これら5つの全てをバランスよく行なう事が,エンジニアとしての成功の鍵と言えるだろう。