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SEの時間術 〜 通勤時間の苦痛をなくす方法

今回は,電車での通勤について。

  • 通勤の苦痛をなくし,
  • その時間をいかに有効利用するか?

を考える。




もし職場の近くに引っ越す・自転車通勤する・在宅で働くなどの代替措置が可能なら,それに越したことはない。

しかし大抵は,毎日少なからぬ時間を電車内で過ごす事になるだろう。


参考:日本人の平均通勤時間

※電車通勤以外も含まれている。


往復2時間という調査結果 (2000年,CITIZEN)
http://www.citizen.co.jp/research/tim...

往復1.5時間という調査結果 (2007年,M1・F1総研,首都圏)
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articl...

往復1時間という調査結果 (2004年,総務省)
http://allabout.co.jp/living/mansionl...


※なお,下の書籍でシステムエンジニアを対象としたアンケートの結果は

  • 全体の半分が往復2時間(片道1時間)
  • 全体の4分の3が電車通勤

だった。
マイホーム購入へ誘導するような統計に騙されないように…


SEライフ〈Vol.1〉SEが28歳までに身につける28の力

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下記では,
「電車通勤をいかに楽にするか?」
「電車通勤の時間を何に使うか?」
の2点に分割して考える。


いかに楽にするか?編

(1)装備

  • 荷物(極力減らす)

わからないと困るかも…とか考えて,重いプログラミング書籍を詰め込んだりしないこと。

書籍は職場に置くか,もしくは必要箇所を習得しておいて残りをネットで調べるような流れを確立させておく。


そもそも,物理的な有形物のボリュームから解放されるのがITの有難みのはずだ。

「手ぶら通勤」を成功させる5つのポイント
http://www.lifehacker.jp/2008/08/hand...

  • キーワードの一つ… 「持たない勇気」
  • USBメモリの利用(PC本体は持ち歩かない)

かばんも,横長であちこちぶつけながら立っていなきゃならない物よりも,少し縦長で小型のショルダー可能な物が身軽かもしれない。

  • 服装(極力軽く)

荷物と同じ。(ただし冬は風邪対策を優先させ,適宜着脱可能にする。)

  • 胃の中(ほどよく食べておく)

空腹でゆすられたら1日気分が悪くなるのは,バスも電車も同じ。

逆に満腹過ぎてもだめなので,適量の朝食を。退社時は水分だけでも確保できないだろうか。

  • マスク

脳の唯一のエネルギー源は,酸素とブドウ糖。


「気分がゆううつだ…」という時,実は,単に呼吸が少なくて脳が酸素不足なだけだったりする。


インフルエンザ流行時などは満員電車は息が詰まる(経験者でないとわからないだろう)。

そういうとき深呼吸は無理だとしても,可能な限り呼吸量を確保しよう。
「風邪によるダウン防止」の観点だけでなく,「通勤時間帯をどれだけストレスなく,のびのびと使えるか」にも影響する。

  • アイデアの矛先

のちに「アウトプット」の項目でも触れるが,たとえ余り頻繁に使わないとしても,手帳やスケジューラなどメモツールを忘れないように。

(2)経路

地理的・時間的に最適な経路を選ぶ。

  • 時間より混雑状況を重視して経路を選択

もし可能ならば始発駅に戻ったり,フレックス制度等を利用して空いている時間帯に出勤したりする。
路線ごと変更も考える。


しかし,無理して時間差を作る事によるデメリットの方が大きければやめておく。

早く到着できたとしてもすし詰めは嫌,という人もいれば,ゆったり座れたとしても早起きが嫌,という人もいる。

自分が何を最もストレスに感じるのか?」に合わせてスタイルを変えてみよう。

  • 自転車と歩きのトレード

交通状況や駐輪のしやすさを考え,駅まであえて徒歩で行く人もいる。

(3)沿線

行き帰りの途上について。

  • 情報収集しておく

調べないうちから「通勤途中に何もなくて,どこにも行く時間が取れずつまらない・・・」なんて言わないように。
帰社時に気晴らしのためにどこかに寄れるのは,通勤者の特権である。


在宅勤務者はこの機会を持つことができず,閉そく感と絶えず戦う必要があるのだ。

在宅勤務の孤独について
http://okwave.jp/qa1654227.html

まずマップなどで各駅近郊の情報収集をし,飲食店など「いつか行きたい所」リストを作っておくとよいかもしれない。

  • 行きつけを作っておく

喫茶店一つでよいから,「とにかく,行きたいと思えばあそこには入れる」という場所を通勤経路上に作っておこう。


寝る前の入眠儀式(毎晩同じ行動を取ると同じ時間に眠くなる)というのと同じで,帰宅時に
「自分を取り戻すための時間・ないし手順」
を用意しておく。

「職場の気持ちを自宅に持ち帰らないためのアルゴリズム」を自分なりに設計・実践するのだ。
メリハリを付けるための切り替えの場所という事だ。


それは,ある人にとっては

  • 行きつけの本屋で好きなジャンルの書籍を立ち読みする事 かもしれないし,
  • 特定の喫茶店やファストフード店でボーっとする時間を持つ事 かもしれないし,
  • 特定の道を通ってみるだけの事 かもしれない。


朝の出社前も同じ。
週に一日ぐらいは,駅のスタンドでコーヒーを飲みながらスケジュールを見直す時間を10分とってみる事で,かなりリフレッシュできる。


人によってさまざまな形態があるが,「ちょっとした行きつけ」の存在は心強いものだ。



電車内で何をするか?編

車内で人間観察をしてみると,人々がやっている事のパターンはごく限られる。

  1. 何もしない(目を開けて/閉じて休養)
  2. インプットしている(紙/iPod音声/電子媒体,プライベート/ビジネス)
  3. アウトプットしている(記録に残す/考えを熟成させる/消費する,メール/メモ/ゲーム)
  4. 人と話している

ぐらいだろう。


ところで,下記のような主張がある。(日本文芸社「うまくいく人が実践する時間管理術」より意訳)

落ち着かない電車の中で本を開いて一生懸命インプットを試みた所で,単に活字を追いかけているだけ

逆に,移動時間はアウトプットのチャンスである。

メールを打ったり,日誌をつけたり,記録やレポートをまとめたり…普段後回しにしてしまうような事を片付ける。

また,こうも言われる。(新潮新書「40歳からの仕事術」より抜粋)


なるほど。岩下や阿部は時間の資源配分を,「学習」よりも「自分で考えること」にシフトさせているのか。

たしかに,読書をすればするほど頭がこんがらがって,コンセプトや用語は覚えていても,頭の中がまるでまとまらない状態になるときもある。…

これらの通り,確かに,過度のインプットは有害になり得る。

興味のある情報や有益とされる情報が洪水のように存在するので,取捨選択しない限りとっくに付いて行けない時代だ。



それを踏まえて,次の「インプット」と「アウトプット」を考えてみる。

(4)INPUT

携帯でニュースチェック程度ならホームの待ち時間で済んでしまうだろう。乗車中はどうするか。

  • 無理なインプット+詰め込みをやめる

せっかく通勤時間で拘束時間が発生するのだからと,あれこれ手を出すのはやめた方がよい。

特に「やらねばならぬ」で無理して重い本を持ち出したり,ろくに音量も出せないのに何となく音楽を聞く,などはまずい。

身体的にも精神的にも荷物を増やす結果になる。


むしろ,

  • 一日のうちで一番やりたい事を,一日の一番初めにやってしまう

という思考法がある。


読みたい文庫があるけど,仕事後は疲れてしまい,時間が取れないでいるか?

一日の最初の,最も体力が残っている時点で読んでしまえばよい。

英語力をアップさせたいのだが,どこにも時間が見い出せないでいるか?

朝の通勤電車の中で,好きなトピックの英文を読めばいい。



そうすれば,一日のうちのあとの残りの時間は,もう何が起ころうと別に構わないではないか。


自分の一番やりたい事はもう済んだのだから。

帰社間際の不測の事態にも心おきなく対応できる。



このように,「やりたい事ができる時間」と捉えるならば,通勤時間の価値は全く変わるだろう。

http://www.itmedia.co.jp/bizid/articl...
通勤時間は「自動引き落とし」のように必ず発生して消費される。…

http://www.itmedia.co.jp/bizid/articl...
この時間は毎日間違いなく確保できることになります。
そこで、やりたいと思っているのになかなかできないことについては、この時間でやるのです。


もし満員でスペースが本当にない場合には

  • 広告の見方を変える

という手がある。


電車内の広告からはデザイン面のTipsを何かしら得られるはず。

    • 技術面の観察:デザイン,レイアウト,キャッチコピー,見せ方に注目する。

企画力は中吊りで鍛える
http://allabout.co.jp/contents/life_c...

続きを見たいと思わせる方法に注目する。

    • 時代観察:売れ筋や流行を知る。話のネタを収集する。

更に深読みして,経営上の戦略を読み取ろうとする人もいる。

    • 右脳的観察:「食べたい,行きたい,おいしそう」など,右脳でイメージを膨らませる。

これは,頭脳労働で左脳のごく狭い領域を酷使するSEにとってなかなか重要なポイントになる。

感情面で何かしらわきあがりがないと,人間やっていけなくなるものだ。

(逃避になってしまうとまずいが)「自分へのごほうび」を企画して,やる気を出す機会にもなり得る。



なお,DSPSPの中には有益な物やストレス発散できる物も多いが,目の疲れの面を考えると,エンジニアには微妙かもしれない。

視覚の観点で言えば,「目のフォーカス機能を使う・目をあちこちに動かす」というのも大事。

現代人の脳を取り巻く環境の変化として,「小さな平面を見続ける時間が増えた」という点が挙げられます。・・・

注意の向け方がダイナミックに切り替わっているときには,生きた情報が次々に入ってくるので,それに対応して思考もどんどん変化していきます。

ところが,目を動かさない人は,その機会が減るので,どうしても同じことをしつこく考えがちになる。


(生活人新書,「脳が冴える15の習慣」より)

(5)OUTPUT

記録に残すか,考えをまとめるかする。目を休めて動かずにいる場合でも,後者はぼんやりと行なえる。

  • スケジュール整理

過去で言えば,記録(日記のようなもの)を付けてみたり,成果を振り返ってみる。
未来で言えば,予定を確認したり,今日の業務のシミュレーションをしてみる。(退社時なら帰ってからの事を考えておく)

満員で手帳がオープンしにくいなら,ふせんや携帯を活用できるだろう。


また,既に挙げた

  • 連絡・報告の作成

だとか,

  • アイデアを練る

と言った時間の用途もある。思いついた事を忘れそうなら,その場でメールでPCに送ってしまえば保管がきく。

まとめ

  1. 装備: 極力身軽に。
  2. 経路: 何を最もストレスに感じるかを基準にする。
  3. 沿線: 行きつけを作る。
  4. INPUT: 無理して詰め込まず,やりたい事を消化。広告も実は興味深い。目のフォーカス。
  5. OUTPUT: 後回しにしがちな作業を片付けるチャンス


何をやっていようが,電車内にいる間は,それ以外の作業は発生しない。
ある意味ぜいたくに時間を使っていると言えるだろう。

問題は,使えるはずのその時間に対して余計なストレスを加えてしまっている場合。
上の1〜3を考慮して,妨害となるそういったストレスの芽を摘んでしまおう。





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