ソフトウェア開発者が読むべき IT系雑誌の一覧と,おすすめの読み方
中級クラス〜のデベロッパにとって,フォローする事が望ましいIT系雑誌のリスト。
また,それらの読み方。
つまり,書店における立ち読みのポイントと,購入の判断基準。
読者層としては,
主にWebアプリの開発をチーム内でリードするエンジニアやアーキテクトを想定。
(1)Web+DB PRESS
雑誌のホームページ
http://gihyo.jp/magazine/wdpress
この雑誌の読み方:
- 「特集」は無条件で精読する。
- 「プログラミング言語の記事」は,下記の点に注目して把握する。
- 言語の癖や特色,他の言語と差異化するファクター
- その言語から,あるサービスを利用するためのAPIの存在
- バージョンアップに伴う新規性や,対応プラットフォーム(JVM上で動作,とか)
- 「企画実現系」の記事(○○で△△を作ろう)は,記事のタイトルが「課題提起」であるとみなし,その課題を解決するためのソリューションとして用いられるツールやアルゴリズムが何なのかを把握する。
- 例えば今月号であれば,「漢字かな変換ソフトを作ろう」というタイトルから,「グラフの最短経路問題」というソリューションが導き出されるプロセスに着目し,そのアイデアに感動を見出すようにする。 (「感動」は大事。感動があれば,システム開発の仕事がよりいっそう好きになり,楽しくなる。)
- 職場での直近の中規模課題が特集の号であれば,迷わずに購入。
※隔月刊行なので,雑誌コーナーになかったりする。
例えば,八重洲ブックセンター本店などでは,雑誌コーナーではなくWebコーナーに積んである。
自分は置き場を探すために,店員さんに2回尋ねる必要があった。
(2)Software Design
雑誌のホームページ
http://gihyo.jp/magazine/SD
この雑誌の読み方:
- 専門分野・得意分野・関心分野の記事は,マスターするためすべて精読。
- 他領域も,アンテナを広げるために半分読了を目指す。
- 職場での直近の中規模課題が特集の号であれば,迷わずに購入。
(3)日経Linux
雑誌のホームページ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/linux/ind...
この雑誌の読み方:
- LPIC レベル2 クラスの知識があれば,この雑誌は全読み不要。
- 現時点でLPICの階段を昇り途中であれば,隅から隅まで読むべきかも。
- Linuxの導入事例と,コラムに注目して読む。
- つまり,「Linuxはあんな所でも使われている」という話のネタを蓄積する。
(4)日経NETWORK
雑誌のホームページ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/NNW/index...
この雑誌の読み方:
- 表紙と目次からキーワードのみ抽出し,インフラ系エンジニアのいまどきの関心事を察知して,話題をシェアできるようにする。
- 「さいきん〜が問題なんだって?」みたいに,日常会話の話題を振れるようになる。詳しい現状は,その専門畑の技術者本人から聞けばよい。雑誌に載る時点で,情報は古いので。
- パラパラめくって、見たことのない構成の図があったら,その回りの文章を精読し、アーキテクチャのみ把握する。
(5)日経SYSTEMS
雑誌のホームページ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/SYS/index...
この雑誌の読み方:
- 図とコードに注目してパラパラ読む。
- 他誌に押されて,いささか弱い。(1)〜(4)を読んでしまうと話題が出尽くしてしまい,需要が薄れると思われる。
(6)日経ソフトウェア
雑誌のホームページ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/NSW/index...
この雑誌の読み方:
- 表紙だけ見て,初心者に対する技術紹介の仕方を観察する。
- 初心者に対して,『今月号では「〜〜をはじめよう」みたいな記事があったよ,読んでみたら』,とアドバイスできるように覚えておく。
補足
補足を挙げると…
- パラパラめくる際には,図に注目すると要点がつかみやすい。これは共通事項。
- 一昔前ならば,下記のような雑誌も愛読されていた。廃刊済みの雑誌は,挙げ出すときりがない。
- 「DBマガジン」:2010年9月号をもって休刊。http://www.drk7.jp/MT/archives/001595.html
- 「ITアーキテクト」:2009年9月号をもって休刊。http://d.hatena.ne.jp/katsumotoryo/20090922/1253550793
- 「Java World」「Linux World」:2006年末をもって休刊。http://www.fx-it.com/blog/2006/11/post.html
- 「C Magazine」:2006年4月号をもって休刊。http://www.nishishi.com/blog/2006/03/c_magazine_1.html
- 「Java Press」:2006年3月をもって定期刊行中止。http://www.eisbahn.jp/yoichiro/2006/03/java_press_vol47.html
- 本稿は,一般的なソフトウェア・デベロッパが対象。もし組み込みエンジニアであれば,「トランジスタ技術」が必読(「日経エレクトロニクス」は話題が最先端すぎるので,研究職向けではないか?)。また,もしコンサルタント(ストラテジスト)であれば,「日経コンピュータ」が必読。
- 本稿は,購買の伴わない立ち読みを主に奨励するものではない。凝集した形で情報を提供して下さる,技術誌の出版社さんに感謝。
なぜ雑誌なのか?
技術者が成長するには,己のスキルポートフォリオを絶えず意識する必要がある。
目の前にある,目下進行中の作業に熟達するよう努力すると共に,
同時に,将来を見据えて,技術情報を自発的に収集し続ける事が求められる。
情報源として,ネットは,
- 「時事性」「検索可能性」「コピペ可能性」
等の面で紙媒体に勝る。
だが,
- 「情報の凝集度(無駄のなさ)」「一覧性」
という面では, ネット<紙 であるのが現状だろう。
つまり,紙媒体のメリットとして
- 確度のある,まとまった情報を,効率よく取捨選択して把握する事が可能。
- ネットやPC・電子機器から離れて,本屋さんという静かな場所に行く事によって,気分転換にもなる。
- ※ネットでの情報収集ばかりだと,仕事の延長になってしまい,リフレッシュにならない。目も余分に疲れる。脇道にもそれやすく,時間をダラダラと浪費してしまう恐れが大きい。
といった良い点が,今もなおあるのだ。
なので当分の間は,紙媒体の雑誌の世話になり続けるはずだ。
※電子書籍等のメディアの登場によって,この状況はいずれ変わるだろうが。
もちろん量の比率から言うと,大手ITニュースサイトとか「Googleアラート」とかで
ネット経由で得る情報の方が,もはや既にダントツで多いのだけど。
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