仕事の疲れをためない方法 - SEの視点での書評:「『疲れやすい』が治る本」

- 作者: 鴨下一郎
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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『「疲れやすい」が治る本 — ダルーいからだが軽くなる』,大和書房,2007。
この本の表紙オビには,
「せっかくの休日も 寝て過ごしてしまうあなたへ」とある。
平日に疲れがたまり,もし休日に回復できないと,
どんどん疲労が蓄積されてゆく。
疲れを「ためない」ために,どうしたらよいのか。
この本では,主に下記のようなキーワードに基づいて,
疲れを「ためない」ための対処法が解説されている。
- 乳酸
- 鉄分
- アクティブレスト
- 睡眠の質。および,睡眠中の体内の疲労回復メカニズムをサポートすること
- 朝,起きる目的
こういうキーワードに照らして解説してもらうと,
疲れがたまるメカニズム,疲れが取れるメカニズムがわかる。
そうすると,(理屈っぽい人は特に)心から納得する事ができ,
自分の生活を変化させるための強力な動機づけが得られる,というわけだ。
暗記したいと思った事柄(良い連鎖)
のんびり風呂に入ると疲れが取れる理由:
- ゆっくり風呂に入る(38〜39℃)
- →水圧で血管がほどよく圧迫される
- →血行が良くなる
- →疲労物質である乳酸が,肝臓まで届きやすくなる
- →肝臓で乳酸が分解され,糖つまりエネルギーになる
- →血中の乳酸濃度が下がる
- →疲れが取れる
なお,下記の作用もある。
- ゆっくり風呂に入る
- →副交感神経が働く
- →消化吸収も便通も改善される
少し運動すると疲れが取れる理由:
- 疲れていても少し運動する
- →血流が良くなり,筋肉の緊張がほぐれリラックスする
- →よく眠れる
- →睡眠中に血液は活発に産生される。血流が良くなる
こだわりを捨てる事によって疲れが取れる理由:
- 何か1・2個あきらめてみる
- →その分だけ,心に余裕が生まれる
- →自分の身の丈に合った目標が持てるようになる
- →現実的な目標を着実にクリアしてゆけるようになる
- →達成感が生まれ,心の疲労が楽になる
たくさん寝過ぎない事によって疲れが取れる理由:
- 休日でも寝過ぎないで,平日+1〜2時間の誤差にとどめる
- →日中,起きている時間が長くなる
- →夜間,ノンレム睡眠の量が増えて熟睡できる
- →疲れが取れる
暗記したいと思った事柄(悪い連鎖)
精神的な疲れが悪循環を生む仕組み:
- プライドが高い
- →仕事の成果物に対して批判を受けた時,あたかも自分自身が攻撃され,自分の努力を否定されたかのように感じてしまう
- →精神的な疲れ
- →睡眠を取りづらくなる
- →肉体的な疲れ
鉄分不足が疲れを生む仕組み:
- 生理による出血(女性の場合),もしくは外食とかインスタント食品により「リン」を摂取
- →鉄分不足
- →ヘモグロビン不足
- →酸素が体の隅々まで行き渡らなくなる
- →心臓をより早く動かす必要が生じる
- →疲れ,貧血,どうき,めまい
姿勢の硬直が疲れを生む仕組み:
- 長時間同じ姿勢
- →筋肉がこわばる
- →血流が悪くなる
- →乳酸がそこにたまり,疲れる
- →痛みを感じる
- →痛みのためにさらに筋肉がこわばり,さらに血流が悪くなる
胃腸の弱さが疲れを生む仕組み:
- 胃腸が弱い
- →消化が悪い
- →栄養不足
- →体力がない
- →疲れる
無計画性が疲れを生む仕組み:
- 優先順位がはっきりしないまま活動している
- →計画が無いので,「次,どうしようかな?」と迷う
- →無駄に時間が過ぎてゆく
- →その分だけ,休息の時間も減る
- →疲れる
食後にすぐ入浴すると,かえって疲れてしまう仕組み:
- 食事をする
- →消化吸収のため,胃腸に血液が集まる
- →ここで入浴する
- →血液が皮フのほうに集まってしまう
- →消化不良
食べて1時間ぐらい休憩してからのほうが良いとの事。
暗記したいと思った事柄(食生活)
鉄分を摂取するための食習慣:
良いもの
- 果物や緑黄色野菜に含まれる「ビタミンC」:鉄分の吸収を助ける
- 大豆や乳製品:鉄分とタンパク質を両方含む
悪いもの
- 外食とかインスタント食品に含まれる「リン」:鉄分の吸収を妨げる
夕食で疲れを取るための食習慣:
良いもの
- 肉・卵・大豆などたんぱく質を摂る
- →寝ている間に,筋肉や血液を作る
- →疲労回復
悪いもの
- 甘いものやご飯など糖質を取ってしまう。あるいは脂質を摂ってしまう
- →血糖値が上がる
- →寝ている間の成長ホルモンの分泌が妨害される
- →細胞が合成されない
- →疲労が回復しない
まとめると,夜は高タンパク低脂肪が良いとのこと。
簡潔なまとめ:
- 乳酸を肝臓で分解させよ。そのために血流を良くせよ。
- たんぱく質で,血液と筋肉を作れ。
- 睡眠の質を上げれば,身体的な疲れもやわらぐ。
実践
「その日の疲れは,その日のうちに取る」
このスローガンが役に立っている。
特に,7〜8月は猛暑で体力を消耗する。
いわば毎日,生命力にダメージを受ける。
だから毎日,こまめに回復する必要があるのだ。
具体的には,ストレッチとか柔軟体操を四六時中行なっている。
駅のホームでの待ち時間,通勤電車の中,
交差点の信号の待ち時間,風呂の中など。
このおかげで,活動と活動の間で「疲れを持ち越さない」で済む。
そうすれば,エンジニアとしての活動に無理が生じることなく,
すべてが長続きする。
エンジニアとして,成功するための5つの秘訣 (3つのIN,2つのOUT)
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20101113/p1
(1)健康と体力を意識し続ける。
こういった事に関心を持たない人間は,何事も長続きしない。
一時的に「頑張っている」ように見えても,
その頑張りのせいで自分の首を絞め,いつか壊れてしまうかもしれない。
あるいは,まともなパフォーマンスを出さず,メリハリがなく,
ダラダラと作業し続ける傾向を持っているかもしれない。
「計画的に休む」というのも役立っている。
休日にやりたいと思う事を,いつもストックしておくのだ。
楽しみごとのスケジュールを入れる。
例えば,今週末の土曜の夜は,
ツタヤでDVDを借りて見て過ごそうとか,たわいもない事を。
もし普通に疲れたまま,計画もなく休日を迎えた場合,
その時点になってしまうともう力が出ない。
オフは,事前の意図的な計画が必要だ。
「計画が無い→迷う→無駄な時間が流れる→疲れる」
の悪循環は危険だ。
心に潤いがなくなり,精神的に潰れる。
迷わないようにするためには,
複数分野で自分の趣味を確立し,軌道に乗せてサイクルを回すことだ。
異なる活動の合間に「移行期間」を設けるのも大事と感じている。
この本によると,前の活動が終わる10分ぐらい前から,
次の活動の事を考える。
そうすると活動がスムーズに移行でき,
オンとオフのスイッチが上手に切り替わる。
PCだってそうだろう。いきなり電源が落ちはしない。
電源をオフにするためには,いくつものステップを経て,
だんだんと各プログラムの活動をクローズしてゆくはずだ。
だから,出社時間帯の末尾の10分間ぐらいは
心のゆとりを少し取り戻せるようにするため,
事前に前倒しで作業を進めて切り上げておくとよいのだ。
シャワーで済ませず,ゆったりと長風呂する
というのも,貴重なアドバイス。
シャワーは短時間でリフレッシュするが,疲労はそのまま残るという。
真夏で体が汗ばむ時期は特に,シャワーだけで満足してしまいがちだ。
しかしそれだと,熱中症に耐えうるだけの
疲労回復の役目は果たせていない。
長めの入浴時間は,「副交感神経を働かせるための大事な時間」として,
1日のスケジュールから天引きしておくのだ。
なお,浴槽は適宜水で埋める。(熱い風呂だと体の負担が増すばかり)
ちなみにシステムエンジニアやプログラマの場合,
長風呂は目疲れにも効く。お試しあれ。
エンジニアが目を傷めてしまうのを防止するために(目疲れ+眼精疲労の予防と対策)
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20100124/p1
- (2) 目の血行をよくする
- (2−2)風呂の中でおしぼりで目を温める / 入浴時蒸しタオル法
この本に対する他の書評
「疲れやすい」が治る本—ダルーいからだが軽くなる [健康]
http://yo-yaku.blog.so-net.ne.jp/2011...
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- 感情をサポートしてくれる家族や友人をもち、ストレスの解消法は一つではなく複数もつ
- 「アクティブレスト」の考え方をとりいれて、ウィーキングや水泳で身体を動かした方が早く疲れがとれる。
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ワンパターンなストレス解消法はかえって心に害を及ぼす(お酒・ギャンブル)
http://ameblo.jp/dsbooks/entry-100612...
オンタイムでは理性でものごとを処理しても、リラックスタイムには、感情をのびのびさせてやることが大事である。自分自身の「疲れている」と気づくサインに耳を傾ける。
http://konnabook.blog21.fc2.com/blog-...