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大学1年生で学ぶ数学「解析学・微積分」の要点まとめ,勉強法の解説。 入門用に全体像・概要をわかりやすく紹介


大学一年生で学ぶ数学のうち,「解析学の基礎(微積分)」について

勉強法やポイントを,図表を交えつつ分かりやすく解説。

つまずきがちな微積分の全体像をつかめる。


解析学は,「微小量の厳密な理論」だ。

これを学ぶ理由・価値は何なのか?

また,どのように全体像を把握して学習を進めたらよいのか。


下記は,新入生が「解析学の概要」を理解する助けになるだろう。

  • (要約) 解析学とは,一言でいうと「微小量の理論」であり,微積分や極限のこと
  • (特徴) 無限小のレベルでの「精密さ・厳密さ」を追求する学問
  • (価値・意義) 微小量を制する者は,巨大な量をも制する。厳密な理論を展開できるから
  • (要点のつながり) 大学1年生の「解析学」のポイントを追いかけるストーリー
    • (ステップ1)「多重積分」のためには,1変数での積分や微分が必要。
    • (ステップ2)1変数の微分のためには,「関数列」や「点列」の極限操作が必要。
    • (ステップ3)「点列の極限」と「関数列の極限」には,収束法や連続性に応じた橋渡しが必要。
    • (ステップ4)点列の収束のために「ε-δ論法」が必要。(※最大のヤマ場)
    • (ステップ5)「極限の収束」を定義できれば,実数上に存在するさまざまな数や区間を正しく定義できる。
  • (実用性) 無限小がわかると,精度のよい「近似」が可能になる(テイラー展開)
  • (1年生の終盤) 多変数の解析学は,「ベクトル解析」の一歩手前まで
  • (まとめ)要点の復習
  • (その先へ) 大学2年生からの発展


(要約) 解析学とは,一言でいうと「微小量の理論」であり,微積分や極限のこと

大学の1年次の数学では,主に「解析学」と「線形代数」の2つを学ぶ。


このうち「解析学」とは,つまり微積分のことだ。

極限や無限を使って,関数の性質を調べ計算する。


解析学のカリキュラムでは,1年生の夏と冬で,

それぞれ以下のようなことを学ぶ。

  • 解析学(夏): 
    • 1変数の,微分と積分。
    • ε-δ論法による極限や,関数の収束の扱い方。
  • 解析学(冬): 
    • 2変数および多変数の,微分と積分。
    • 複雑な面積や体積の計算により,重積分をつかいこなす。

そして教官にもよるが,1年間の中でたいてい,常微分方程式の解法を教わる。


微分,積分,そして微分方程式

これが解析学の「1年間の成果」だと言える。


1年次の解析学は,下記のPDFまとめで独学できる。

大学の数学で,微積分(解析学)の講義ノートPDF。演習問題と解答付き(大学1年で学ぶ,1変数と多変数の微分積分学のオンライン教科書) - 主に言語とシステム開発に関して
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20140509/UniversityCalculusPDFNoteLinks

  • 微分には極限やε-δ論法,級数展開,収束などが含まれる。
  • 積分には線・面・体積の積分や広義積分を含む。
  • 良質な講義資料を集めた。演習問題と解答もある。おかげで,高い参考書を買わなくて済む。


しかし,無料でぶあつい教科書PDFが手に入るのはありがたいが,

まずは手っ取り早く,全体の概要だけを知りたい。

という人も多いだろう。


そういう人のために,解析学のポイントのつながりを解説するのが本記事だ。

(特徴) 無限小のレベルでの「精密さ・厳密さ」を追求する学問

解析学とは,「無限小のレベルで厳密に正しいかどうか」を突き詰める学問だ。

どれほど細かくしても正しい,という精緻(せいち)で精密な理論を構築する。


たとえば,関数 f(x) と g(x) を比べて,

遠くから眺めると「だいたい一致している」ように見える。


しかし,よく見ると g(x) には,いくつか小さなでっぱりがあって,

細かいところで f と g は互いに一致していないことが分かったとする。


f:id:language_and_engineering:20160330183030p:plain


このでっぱりの大きさはεだ。

εをものすごく小さくできる場合,どこまで小さければ,

「f(x) と g(x) は互いに等しい」

と言えるのだろうか?

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