iTunesで管理している音楽の「ボーカルキャンセル版」を作成する方法
iTunesで管理している曲の,ボーカルキャンセル版が欲しくなったらどうしたらよいか。
iPodなどのポータブルプレーヤで聞いていて,
「この歌は伴奏が良いな」と思った時にカラオケ・バージョンが欲しくなる。
場合によっては,その音楽の楽譜を調査・採譜したり,MIDIを収集する事もあるだろう。
しかし,iTunes内のミュージック・ファイルを簡単に「変換」して,ボーカルキャンセルできる。
インストゥルメンタル・バージョンを,自作する事が可能なのだ。
その手順。
フリーソフトだけを使うので無料。
(1)ボーカルキャンセルの原理
最も簡単なボーカルキャンセルの方法は,音楽プレーヤーで,
ヘッドホンを「半分抜けた状態」にする事だ。
iPodですぐに試せる。
イヤホンのプラグが「抜けかかった位置」まで挿入されていると,
特定の深さで,出力音声がボーカルキャンセル状態になって再生される。
この原理は,左右の音声波形の「差分」が再生されるためである。
これほど簡単で便利な音声信号処理アルゴリズムもまれだ。
イヤホン半分挿しにしたときの音声状態を作るには?
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...
- 位相がずれる(反転する)ことで真ん中にある音同士が打ち消しあうため聞こえなくなります。作り方は、ステレオトラックの片方を逆位相にすれば良い
ポータブルCDプレーヤーを使って、ボーカル入の曲のボーカル部分だけをきれいに消すという方法の原理
http://www.homerc.net/z3/63.shtml
- イヤホンなどが差し込んであるプラグ部分を少しずつ抜いていき、ある部分に達すると突然ボーカルの音のみがきれいに消えるというものでした。これってどういった原理なのでしょうか
- 原理的にはボーカルの多くが左右同相で入っているので、打ち消されて消えるというのが正しいです。では何故打ち消されるかというと、プラグを抜く過程でLとRがショートする位置があるからです。MDで失敗された方は、このショートする位置が機器によってさまざまなので、見つからなかったかほとんどない場合だと思われます
- センターボーカルキャンセラーの原理ですね。ボーカルは通常左右チャンネルに同一位相、同一振幅で記録されていることが多いため、L-R(LマイナスR)、又はR-Lという処理でキャンセルすることができます。ヘッドホンジャックにはR、L、グランドの3つの端子が付いており、このうちイヤホンの端子にRとLを接触させますと、「簡易サラウンドチャンネル」でお馴染みのR-L又はL-Rの信号が取り出せるのです。
- GNDを飛ばしてLとRにスピーカーの+と−を繋いだ場合、RとLの電位差でスピーカーを鳴らす、という事になるため
※GNDや位相などのキーワードは,電子回路を学んだ経験がないと理解しづらいだろう。
そういうわけで,対象となる曲の「左右の波形の引き算」をすればよい,という事になる。
まずはwavファイルを手に入れて,それを加工し,次いでiTunesに戻せばよい。
下記でそれを実践する。
(2)iTunesからm4aファイルを取得
m4aファイルを取得する。
- iTunes上で編集>設定>詳細
- →iTunes Mediaフォルダーの場所
- →C:\Documents and Settings\〜〜\My Documents\My Music\iTunes\iTunes Music などと表示される。
エクスプローラで,このフォルダへ移動。
対象となる楽曲のm4aファイルをコピー。
なお,この時点で,音楽ファイルの拡張子が「m4p」である場合がある。
iTunes Storeで購入した曲は,この拡張子になる。
この場合,まずはこの曲をプレイリストやマイアルバムに入れて,Compilationの一部として管理しよう。
そうすれば,アーティスト別のフォルダではなく「Compilation」フォルダ内にファイルがコピーされ,拡張子もm4aになる。
その後,xrecodeでWAVE形式に変換できるようになる。
(3)m4aからwavへ変換
コンバーターはいろいろ存在する。
ここでは,m4aからwavへ変換するためのフリーソフトとして,xrecodeを使用する。
xrecode
ダウンロードして解凍。
xrecodeでm4aファイルを扱うためには,下記の付加的なツールが必要。
- NeroAACCodec-1.5.1.zip をダウンロード,解凍
- \NeroAACCodec-1.5.1\win32 の中から,下記の3つのファイルを取得。
- neroAacDec.exe
- neroAacEnc.exe
- neroAacTag.exe
- 上記3つのファイルを,xrecode2.exeと同じフォルダ上に設置。
これで,xrecode2.exeを起動。
試用版である旨のダイアログが表示されるが,簡単に閉じれる。
変換対象となるm4aファイルまたはフォルダをリストに「ファイルを追加」。
「目的の形式」でwavを選択。
出力設定は「ソースと同じ場所」とする。
「開始」を押下。
wavが取得できた。
(4)wavのステレオ波形の引き算を実行
ボーカルキャンセル処理そのものを実行する。
下記のページの
「Make Karaoke Wave from Stereo Wave Ver. 0.2をダウンロード(47kb)」
からプログラムを取得して解凍。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-...
音楽の入ったステレオのwaveファイルからボーカルの声のみをカットしたwaveファイルを作り出すプログラムを考えています。
いまのところ、アルゴリズムは、左チャンネルの振幅データと右チャンネルの振幅データを読んできて、
引き算して差分をとり、それをモノラルの振幅として書き込むという簡単なものです。
つまり、PANがセンターに位置している音の成分が消えます。(ボーカルの他,ベース,ドラムなどの低音)
解凍するとmkkara2.exeというプログラムが出てくる。
ここと同じフォルダに,処理対象のwavファイルを設置する。
コマンドプロンプトから,下記のコマンドを実行。
mkkara2.exe a.wav b.wav
a.wavが入力元,b.wavが出力先のファイル名。
実行ログはこんな感じ。
&& Make Karaoke Wave from Stereo Wave && && Version 0.2 copyright (c) norio 1998 && << Format of Sorce File "a.wav">> [ Sampling Freq. : 44100 (Hz) ] [ BitsPerSample : 16 (bits) ] [ Data Size : 58924656 (bytes)] [ Time : 334.04 (sec) ] Converting and writing wave header.....Done. Converting and writing wave data.....Done. "b.wav" created. Hit any key to return OS..
これで,出力結果として,ボーカルキャンセル済みのwavファイルが得られる。
繰り返し作業が発生する場合は,下記のようなバッチファイルを作っておくと便利。
kara.bat
mkkara2.exe %1.wav %1_inst.wav
これで,a.wavを加工したい場合は下記のようにすればa_inst.wavが生成される。
kara a
複数のファイルを一括して変換したい場合もある。
そのような場合,下記のようなバッチ構成が便利だ。
inフォルダには変換対象のwavを複数格納し,outフォルダに出力されるとしよう。
下記のようなバッチを作っておけば,この作業は一括して行われる。ファイル名を指定する必要はない。
for %%V in ( in\\*.wav ) do ( start mkkara2.exe "in\\%%~nV.wav" "out\\%%~nV_inst.wav" ) @pause
※バッチファイルの参考:
NT系:パラメータ参照方法の拡張
http://fpcu.on.coocan.jp/dosvcmd/batc...
- 環境変数の中から,拡張子を除去したファイル名だけを取り出すには %~n1 のような記法を使う。
(5)加工済みのwavをiTunesに追加
前項のwavを,iTunesに再度インポート。
あとはiPodに同期するだけ。
これで,カラオケバージョンを聞きたい時に,いちいちイヤホンを抜き差ししなくても済むようになる。
ここまでの作業を,ルーチンワークとして繰り返し実行する場合,
作業場所として下記のようなフォルダを準備しておくとよい。
- まず,音楽変換用のフォルダを作成。
- 上記のフォルダ上で,下記のようなショートカットを作成。
- iTunes Music へのショートカット。m4aの取得元。
- xrecode2.exe へのショートカット。wavへの変換用。
- mkkara02 へのショートカット。ボーカルキャンセル処理用。
- 変換済み音楽の保管用フォルダ。ここからドラッグしてiTunesにインポートする。
補足1:ボーカルキャンセルの発展
凝ったチューニングをしたい場合は,下記のソフトで各種パラメータを微調整できる。
ボーカルキャンセラー2
http://mahoroba.logical-arts.jp/modul...
補足2:センター音のボーカルだけを抽出したい場合
上記の逆の操作として,
ステレオ波形の,左右の共通部分だけを抽出したい場合もある。
「ボーカル除去」ではなく「ボーカル抽出」処理である。
「K5 WAVE Filter」などのフリーソフトが役立つ。
K5 WAVE Filter ver.1.3
http://kkkkk.net/?key=soft.kwf
- ステレオの WAVE ファイルからセンター(中央)音やサイド音を抽出したり、ステレオを広げたり、ノイズを除去したり、特定の音域のボリュームを調節したりできる
対象ファイルをドラッグドロップして,
「センター音抽出」で「処理開始」するだけ。
処理結果は,極めて良好。センター音のみが忠実に出力される。
他のソフトを使うと,余計なサービスで,サイドの音も少しだけ残ってしまう。
例えば「ボーカルリデューサー」などのフリーソフトを使った場合,
「K5 WAVE Filter」ほどの良い出力は得られない。
音楽ファイルからボーカル音声を除去してカラオケ化「ボーカルリデューサー」
http://www.forest.impress.co.jp/artic...
- また、[逆モード]ボタンを押したうえで処理を開始すれば、ボーカル音声を抜き出したWAVEファイルを作成できる
- GUI上部の「INV」(逆モード)ボタンを押し,「ボーカルリデュース実行」を押下すればよい。