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Webサイトの画像に文字を埋め込もうとする人がいたら,フォントのライセンス問題を知ってもらうために見せるページ (MS明朝・MSゴシックは,商用利用可能か?)

html css ライセンス デザイン

フォントには,著作権がある。



Webページ上でテキストとして表示するのは問題ないが,

画像の中に文字列を埋め込むと,フォントのライセンス違反になる場合がある。

この点は意外と知られていない。


フォントごとに,ライセンスの内容は異なる。

例えばWindows環境でのフォントの代表格「MSゴシック」「MS明朝」は,

画像中に利用してよいのか?



もしその画像を,営利を目的とした商用サイト・企業サイトに掲載したら,

フォントのメーカーに対して罰金やライセンス料を払う必要があるか?


「MSゴシック」や「MS明朝」は,画像中で使用してよいのか?(2011年現在)


これらのフォントについては,調査しても正確な情報が得られなかったので

これらのフォントの提供元である(株)リコー の

サポート窓口様宛にメールでお尋ねした。


※フォントの提供元を調べるには,コントロールパネル>フォント で,

ttc/ttfファイルを右クリックし,詳細タブの「著作権」の項目を見る。

MSゴシックの提供元がリコーであることを確認できる。


質問メール本文(要旨のみ):

MSゴシック等のフォントを利用してテキストを画像に埋め込んだ場合の,Webページの公開の是非につきまして


【質問内容】

現在,MSゴシックまたはMS明朝のフォントを利用して,画像を作成しております。

具体的に申し上げますと,該当フォントを使って「ようこそ」等の文言を画像中に埋め込んでおります。


作業を行なっているPCのOSは,Windows XPおよびWindows Vistaです。

これらのOSには,MSゴシック・MS明朝のフォントがプリインストールされておりました。


下記のような各行為は,許可されますでしょうか?

  • (1)その画像を,営利目的の企業のWebサイト上に掲載する。
  • (2)その画像を,非営利目的の個人のWebサイト上に掲載する。(アフィリエイトや広告が掲載されていないページ)
  • (3)その画像を,非営利目的の個人のWebサイト上に掲載する。(アフィリエイトや広告が掲載されているページ)

いずれのWebページも,不特定多数が閲覧するものです。


本件につきまして,インターネット上での情報は意見が分かれており,
正確な情報を得ることができません。

例えば,下記のような意見を掲載したサイトがございます。


フォントの著作権(または規約)について(2009年)
http://okwave.jp/qa/q4962531.html#besta

  • HG○○はリコーのフォント
  • MS明朝もリコーのフォント
  • Webなどの利用でも商用利用許諾が必要


フォントの著作権について(2011年)
http://oshiete1.nifty.com/qa7067396.html

  • 「MSゴシック」というフォントをWindowsのペイントを使って自作画像を作り、インターネットに公開する行為は著作権侵害になるのでしょうか?
    • →MS明朝やMSゴシックの著作権は(株)リコーが持っています。商用利用も、現在は追加料金なしで利用できます


1営業日も待たないうちに,

(株)リコー TTWインフォメーションセンターのサポートご担当者様より,

たいへん丁寧な説明のメールが届いた。


無許可でのメール転載は失礼な行為である。

なので,そのメールはここでは引用しない。



わかったのは,リコー社側はフォントの「提供元」に過ぎず,最終的にはフォントの「提供先」であるマイクロソフト社側の意向に左右されるようだ,ということ。


Windowsマシンにプリインストールされているフォントの使い道に関する質問なので,そういう事情になる。

つまり正確に言うと,私は質問相手を間違えていた,という事になるのかもしれない。



なおサポート担当者様は,回答にあたって下記のマイクロソフトのURLを引用なさった。

マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項
WINDOWS 7 ULTIMATE
http://download.microsoft.com/Documen...
3. 追加のライセンス条件および追加の使用権
b. フォント コンポーネント 本ソフトウェアの実行中、お客様は本ソフトウェアに付属のフォントを使用してコンテンツを表示および印刷することができます。以下の操作のみが許可されます
・ フォントの埋め込みに関する制限の下で許容される範囲でコンテンツにフォントを埋め込む。
・ コンテンツを印刷するために、フォントをプリンターまたはその他の出力デバイスに一時的にダウンロードする。

そのメールに対する私からの返信内容(要旨のみ):

ご回答頂きました内容を拝読させて頂きましたが,

結論としまして,当方では下記のように解釈いたしました。

(1) リコー様からのサポート,見解,コメント等の効力の限界につきまして

 MS〜書体のフォントはリコー様が提供元となって下さっている。
 そのためリコー様側としては,あくまで「提供元」としての見解を述べるにとどまる。

 なので,エンドユーザが該当フォントをWindows OS上で利用する際の権限範囲等について,
 リコー様としては,絶対的な判断および見解の保証を下す立場にはない。

 係る項目の是非の詳細については,
 フォント「提供先」のマイクロソフト社側の意向に少なからず左右される事になる。

(2) ここ数年における見解の進展につきまして

 MS社側の見解は,Windows Vista OS以降のライセンス条項において明確化された。
 その見解はMS社のWebページ上で公表された。

 リコー様はその見解を受け,フォント提供元として
 現時点で最新の自社見解および判断を述べて下さっている。

 インターネット上には,この「MS社側の見解の明確化」が発生するよりも前の情報が散見されるが,
 それらの情報は現時点では古く,適用されなくなっている場合がある。

(3) 前項の結果としての,現時点でのリコー様の見解につきまして

 リコー様は,現時点では,あくまでフォント提供元として下記のような見解を持っておられる。

  エンドユーザがMS〜書体を利用したテキストを画像に埋め込み,
  その画像を商用Webサイト上に公開する際,
  もし該当する画像の作成作業に用いられるPCがWindows OSであり,
  該当OS内に正規のフォントデータが付属している場合は,
  リコー様と新規契約を締結する必要は無い。

 ここで,Windows OSとはVista以前・以降を問わない。
 また本ケース以外にも,Mac版Officeを利用しているケース等が考えられる。

 また注意点として,本件はMSゴシックなどMS〜系の書体に限定して論じているのであり,
 リコー様が提供なさっている別の各種書体を利用する際には,
 「追加商用使用許諾」の契約等が必要となる。


概ね(大体のところ),エンドユーザとしては上記のような認識で相違ありませんでしょうか。

すると,2時間もせずにお返事が来た。

ヘルプデスクでのサポート対応はスピードが命なので,模範的と感じた。



ご返信の要旨:

  • (1)〜(3)の解釈で相違なし。ただしMS系の書体に限定。
  • 「HG〜」書体の商用使用においては,商用使用許諾の契約が必要。

ここまでをまとめた結論:


Windows上で画像作成作業をしている場合,

正規プリインストールされたMSゴシック・MS明朝の

フォントを使ってテキストを画像に埋め込み,

その画像を商用Webサイトに利用しても,

ライセンス料は発生しない。

これは,Webサイト制作に携わる者であれば,ぜひ知っておきたい情報ではなかろうか。



※なお,これはあくまで本稿執筆時点での情報であり,

また上述の文章は(上記のやり取りの結果として)私が個人的に下した結論のメモに過ぎず,本記事を基にした故に発生した如何なる損失も責任は取りかねます。

また,マイクロソフト社にはコンタクトを取っていない,という事を書き添えておきます。


(参考サイト)MS明朝とかMSゴシックのライセンスの変遷について:

フォントの著作権(または規約)について(2009年)
http://okwave.jp/qa/q4962531.html#besta

  • HG○○はリコーのフォント
  • MS明朝もリコーのフォント
  • Webなどの利用でも商用利用許諾が必要


[豆知識] MS明朝、MSゴシックは(今は)商用利用できる(印刷物。2010年)
http://yuzuya.style.coocan.jp/blog/ar...

  • 2009年4月の段階では、追加料金 ¥17,850/1書体/1台 払ってねという回答だった。ところが、2010年6月に改めてリコーに問い合わせたところ、やっぱり追加料金なしでいいよという回答でした
  • Microsoft が OS付属のフォントの使用権を明確にしたので、リコーはそれにあわせて商用利用OKとします、ということでした。というわけで、MS明朝やMSゴシックは追加の契約なしで商用利用できる


フォントの著作権について(2011年)
http://oshiete1.nifty.com/qa7067396.html

  • 「MSゴシック」というフォントをWindowsのペイントを使って自作画像を作り、インターネットに公開する行為は著作権侵害になるのでしょうか?
    • →MS明朝やMSゴシックの著作権は(株)リコーが持っています。商用利用も、現在は追加料金なしで利用できます


web漫画のフォント選び、意外な落とし穴
http://webcomic.doorblog.jp/archives/...
非営利個人サイトで使う分には問題なさそうですが(あくまで私の解釈ですから責任もてません)、
商用で使う場合、追加契約を結ばねばなりません。
また、RICHOさんは、自分の漫画サイトでアフィリエイトをする場合も、「商用利用」に含むようですね。


マイクロソフト社のスタンスについて:

(2007年の時点での情報)
http://note.openvista.jp/2007/japanes...

  • Windows 付属のフォント
    • 日本語のフォントに関しては、外部のフォントベンダーがすべてのフォントの開発に関わっています。・・・マイクロソフトでは許諾を出さない方針です。・・・各フォントベンダーに直接お問い合わせください。


MSゴシック・MS明朝についての謎は解けた。

では,他のフォントについてはどうか。


問題が発生する例

下記ページのサマリをざっと読むこと

フォントの著作権について教えてください
http://q.hatena.ne.jp/1112145510

  • Webサイトをデザインする際に、ナビゲーションで使用する、「TOP PAGE」、「SITE MAP」、「MENU」、「SHOPPING」といった画像ボタンに、フォントを使用する場合、著作権上の問題は発生するでしょうか
    • →フォントの種類によって,商用利用のライセンスが異なる


ホームページを作るときは「著作権」に気をつけよう
http://www.coolwebwindow.com/hp-navi/...

  • パソコンに初めからインストールされているフォントは、ホームページに使用するバナーなどの文字に使用したい場合は、著作権を持っている会社に許可を取るかお金を支払わなければならないこともあります
  • 無償で商用利用できるフォントもあります


フォントの著作権について
http://www.tekepon.net/fsm/modules/ma...

  • 企業様が作ったフォント(デフォでPCなどに入ってる物も含める)はほとんど印刷物以外への使用は駄目
  • ゲームに同梱する場合はライセンス料が十万単位、画像使用でも万単位でかかったり
  • フリーフォントを規約に従って使用する事をお勧めします


商用利用可能な日本語フリーフォント(漢字込み)一覧
http://webcomic.doorblog.jp/archives/...

  • PCに入っているフォントは、「商用利用」に関しては別途料金がかかることが多い
  • フリーフォントは,画像へ書き込み・印刷という方法での商用利用が可能


無償で商用利用できて品質の高い日本語フォント一覧
http://note.openvista.jp/2007/japanes...

  • 商用利用は別腹が多い:商用フォントの話だけでなく、いわゆるフリーフォント(無償で使用できるフォント)も同じで、「個人利用に限り〜」という但し書きがあるところは結構多い


要は,

  • 画像利用する場合にはフリーフォントの使用が無難
  • フォントごとに個別にライセンスをあたって,利用可能範囲を調べること

という事になる。


フォントデータの無断アップロードも注意

画像埋め込み以外にも,テキストデータ表示の目的で

フォントデータのファイルを無断でサーバにアップロードすると問題になり得る。

Webデザイナー必読?!著作権について知っておくべき10のこと
http://kojika17.com/2011/01/copyright...
8、フォントの著作権
フォントのデータは「応用美術」でなく「プログラムの著作物」として著作権で保護されます。
CSS3の@font-faceなどで著作権者に無断でサーバー等にフォントデータをアップロードすると、訴えられる可能性があります

普通のテキスト表示は問題ない

Webページ上でテキストとして表示する分には,

CSSでどんなフォントを指定しようが,ライセンス的には構わない。


テキスト自体には,フォント画像が埋め込まれていないからだ。



具体例として・・・

WebサイトのHTMLに,日本語で「こんにちは世界」と記載したとする。

CSSを使って,その文章が「MSゴシック」と「MS明朝」で表示されるように設定したとする。


作業者は,下記のようなHTMLをコーディングするだろう。

<div style='font-family:"MS ゴシック";'>こんにちは世界</div>

<div style='font-family:"MS 明朝";'>こんにちは世界</div>


作業者は,このHTMLを自分のPC上でブラウザで開いてみる。

すると作業者のブラウザは,PC内にインストールされているフォントの中から

「MS ゴシック」と「MS 明朝」を探す。

もし見つかれば,そのフォントで表示される。

もし無ければ,かわりにブラウザの既定のフォントで表示される。

font-familyプロパティで指定されたフォントが使えない場合。
http://www.marguerite.jp/Nihongo/WWW/...

  • font-familyプロパティの値に適切なフォントが無い場合は、ユーザエージェントに実装されているフォントから適切なものを選ぶ事とされている


このHTMLをWeb上に公開したとする。

このページを閲覧するユーザのブラウザは,HTMLから指示を受け,

ユーザ自身のPCの中からインストール済みのフォントを探す。



つまり,HTML自体はフォントの名前を指定しているだけ。

HTMLの中に,フォントの具体的な描画情報そのものが転載されているわけではない。

あくまで「Webページを閲覧する人のPC内に存在するフォントファイル」が利用される。


補足

リコー サポート窓口担当者様の,クオリティの高いサポートに感謝。