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Windows Vista上に XAMPP と XOOPS Cube をインストールし,サイトをカスタマイズする手順

以下のようなシステム構成で,XOOPSを使った「会員制のコミュニティサイト」を構築したい。

  1. アプリケーション: XOOPS Cube Legacy(=XCL。ホダ塾版ディストリビューション)
  2. ミドルウェア  : XAMPP (Apache+MySQL+PHP)
  3. OS       : Windows Vista (Home Edition)


サイトの要件は下記の通り。

  • アカウントを持っている人だけが,ログイン画面から,サイト内部に入れるようにしたい。(閉鎖性,セキュリティ)
  • サイト内部では,静的コンテンツや管理者用ブログの閲覧に加え,ファイルダウンロード等を可能にしたい。(付加価値を持つ情報の提供)
  • サイト内部では,WikiやBBSを利用できるようにしたい。(コミュニティ性,参加型のメディア)
  • サイト管理者は,サイトのコンテンツ管理やアカウント管理などを,ブラウザ上から手軽に行ないたい。(メンテナンス性)
  • これらの要件を,お金をかけずに無料で,素早く実現したい。(低予算,短納期)

この要件を実現するために,オープンソースの各種ツールの導入手順・カスタマイズ手順・使い方を詳しく述べる。

また,インストール時につまずきがちなポイントも,トラブルシュート形式でまとめて解説する。


手順の概要は下記の通り。

この手順を追う事によって,XOOPSのカスタマイズ方法に関して,基礎的な知識を網羅的に把握することができる。


はじめに

まず,利用する技術要素について簡単に説明する。



XOOPS(ズープス)」は,オープンソースのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)。

その日本語サポートチームが2005年に分岐・独立し,日本独自のバージョンとして「XOOPS Cube」が誕生した。

XOOPS Cubeから見た場合の,もとのXOOPSの事を「本家XOOPS」と呼んで区別する。

現在では,XOOPS Cubeの事を「XOOPS Cube Legacy (XCL)」 とも呼ぶ。


XOOPS Cube Legacyをもとにしたパッケージは,世の中にいろいろ存在する。

特に,XOOPS Cube Legacy本体に対して,便利な拡張モジュールをプリセットし,

インストール方法も簡単になっている「XCL ホダ塾ディストリビューション(=HD)」

というパッケージは,取り扱いが容易なため,XOOPSの初回導入には正にうってつけのパッケージであると言える。


事実上,日本国内のXOOPSビギナーにとっては

「XOOPS」=「XOOPS Cube」=「XOOPS Cube Legacy」
 =「ホダ塾ディストリビューション」

という式が成立する,と言っても過言ではない。

したがって,何か調べ事があるときには「XCL」「ホダ塾」「XOOPS HD」とか「Xoops cube」などをキーワードに探すとよい。

XOOPS
http://ja.wikipedia.org/wiki/XOOPS

  • 日本でXOOPSという場合は XOOPS Cube Legacy を指している事が多い


XOOPS Cubeとは
http://xoopscube.jp/page/2

  • XOOPSは,ユーザ参加型コミュニティサイトを個人でも手軽に立ち上げることのできるWebアプリケーション。拡張可能,オブジェクト指向,ポータルの三拍子の頭文字でXOOPSと命名された
  • XOOPS Cubeは,Simple・Secure・Scalableの「3S」コンセプトのもと、日本語を含むマルチバイト環境に対応
  • XOOPS Cubeの基幹ライブラリをXOOPS Cube Coreという。それをパッケージとして動作させたものをBASEパッケージという
  • BASEパッケージとして存在するのは,事実上XOOPS Cube Legacyのみ。つまり XOOPS Cube=XOOPS Cube Legacy と考えて差し支えない


ホダ塾:XOOPS CUbe のディストリビューション
http://xoopscube.jp/news/149

  • 現在、XCLのディストリビューションと言えば、ホダ塾の事を指す(2008年)

XOOPSが動作するためには Apache + PHP + MySQL といったミドルウェアが必要。

それらのソフトを,Windows上に手軽に一括インストールするためのパッケージが「XAMPP(ザンプ)」である。

Windows XPの時代まで,XAMPPは「ワンクリックでApacheが使えるようになる便利なツール」という位置付けだった。

VistaやWindows 7の時代になった現在でも,XAMPPの手軽さはほぼ変わらない。



Windows Vistaは,XPまでと違って「ひとくせあるOS」になってしまったため,開発環境として用いるためには少々手間がかかる。

特にセキュリティ機能が強化されたため,非管理者ユーザには,Cドライブへの自由な書き込みやソフトウェアのインストールができなかったりする。

また,たとえ管理者ユーザとして作業していても,頻繁に「UACダイアログ」が表示され,インストールがいちいち中断される。

さらに,もしマシンのハードウェアスペックが悪いと,Vista上での作業は地獄になりうる。

(IMEの変換1回で十数秒,Excelファイルを1個開くのに15分,Seleniumによる回帰テストは全ステップでタイムアウト,など・・・)※地獄経験者


とはいえ,メモリとCPUが共に2ギガ程度あり,いったんVistaの特徴を把握して慣れてしまえば,申し分のない開発環境として利用することが可能だ。



ここで注意すべき点は,「XAMPPを最新バージョンでセットアップしてしまうと,XOOPSが動かない」という点。

以下の手順では,Vista上でXOOPSが正常に動作するよう,適切に環境を構築してゆく。


(1)Vista上でインストール環境を整える。

(1−1)管理者アカウントを作成する。

もし既に管理者アカウントとして作業しており,そのままのアカウントでよい場合,この作業は不要。


新規管理者アカウントを作成:

  • Windows 左下のスタートボタンを押下
  • →「コントロールパネル」を選択
  • →「ユーザアカウントの追加または削除」を選択
  • →もし管理者でない場合は,管理者のパスワードを聞かれるので入力
  • →「新しいアカウントの作成」を選択
  • →アカウント名を入力し,「管理者」を選択し,「アカウントの作成」を押下


新規管理者アカウントとしてログイン:

  • Ctrl + Alt + Deleteキーを押下
  • →「ログオフ」を選択
  • →先ほど作成した新規管理者ユーザとしてログイン

(1−2)コマンドプロンプトが管理者権限で実行されるようにする。

スタートメニューのコマンドプロンプトの設定を変更する:

  • スタートボタン→すべてのプログラム→アクセサリ→「コマンドプロンプト」を右クリック→「プロパティ」を選択。
  • →「ショートカット」タブの「詳細設定」を押下
  • →「管理者として実行」にチェック。OKを2回押下


同様に,もしタスクバーのクイック起動やデスクトップ上にコマンドプロンプトへのショートカットがある場合は,そのショートカットの設定も変更する。


ショートカットの設定を変更する:

  • ショートカットを右クリック→「プロパティ」を選択。あとは同上。


参考:

Windows Vistaでプログラムを管理者モードで実行する―― UACによって制限されたプログラムを昇格させて実行する ――
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2...

  • vistaでは普通にコマプロを開くと管理者権限を持っていない。ウィンドウの左上に「管理者」と表示されるのですぐわかる。
  • 各種コマンドがcmdから実行できず困るので,昇格させる。


UAC (ユーザーアクセスコントロール) と管理権限の昇格 (elevating)
http://keicode.com/windows/uac-elevat...

  • 管理者としてコマプロを実行しない場合,IISの設定などの必須作業すら行えないということの説明。
  • 管理者として実行すると「Mandatory group」が変わって権限を持つようになる

(1−3)古いミドルウェアを削除する。

もし,XAMPPやApache・MySQLの古いバージョンが既に入っている場合,まずアンインストールする。

古いミドルウェアを,インストーラ版のXAMPPでインストールしてある場合は,単にアンインストーラを実行する。


古いミドルウェアを,非インストーラ版のXAMPPなどでインストールしてある場合は,下記のステップを踏む。


ミドルウェアの手動アンインストール(サービスエントリの削除):

  • コントロールパネル→システムとメンテナンス→管理ツール→サービス(=サービス一覧) を開き,「Apache2.2」「MySQL」などがサービス登録されているかどうかを確認する。
  • →該当サービスが起動している状態で,コマンドプロンプトから「sc delete Apache2.2」「sc delete MySQL」のようにコマンドを実行
  • →Windowsを再起動
  • →サービス一覧を開き,該当サービスが削除されたことを確認する。(サービス一覧はショートカットを作っておくとよい)


ミドルウェアの手動アンインストール(ファイル実体の削除):

  • ApacheやMySQLなどのフォルダを全削除する。XAMPPであれば,XAMPPインストールディレクトリを丸ごと削除する。


参考:

アンインストール方法
http://www.apachefriends.org/jp/xampp...
インストーラを使わないインストールの場合

  • XAMPPサービスをシャットダウンしてすべてのパネルを終了させます。何かサービスをインストールしてあったら、それも同様にシャットダウンします。
  • ZIPパッケージからインストールしたXAMPPをアンインストールするには、XAMPPをインストールしてあるエントリ・フォルダから単純にエントリを削除してください。クリーンアップしなければならないレジストリ・エントリや環境変数はありません。


XAMPPをアンインストールしたい
http://okwave.jp/qa/q6038699.html

  • Xamppのインストールは、インストーラを使わない方法で行いました→アンインストーラがないのは当たり前のこと。
  • 普通に削除すれば良いだけ。ただしサービスとして登録しているならそのサービスから除去する必要はある

環境構築を開始するための準備が完了。


(2)XAMPPをインストールする。

(2−1)XAMPPのパッケージを入手する。

「XOOPSが正常動作するようなバージョン」のXamppを,zip形式で取得する。インストーラは使わない。

バージョン間違いに注意。


ダウンロード:


参考:

Xampp PHP,MySQL,Apacheのバージョン遷移(2010年5月まで)
http://lebemannes.com/?p=37

  • XAMPP0.9〜1.7.3までの,同梱されているミドルウェアのバージョンの推移の一覧表
  • XAMPP1.7.1の同梱物は下記の通り
    • Apache 2.2.11
    • MySQL 5.1.33
    • PHP 5.2.9


Status Check Failure [3] - im running windows 7 - 64bit
http://www.apachefriends.org/f/viewto...

  • XAMPPバージョン1.7.4の時点では,64ビットOSにもWindows 7にも非対応
    • Windows NT, 2000, 2003, XP (RECOMMENDED), VISTA
    • Only 32 Bit (NOT for 64 bit systems)

(2−2)XAMPPをインストールする。

インストーラを使わずに手動でセットアップする:

  • 前項のzip解凍物の中身を,D:\xampp\ 内に全てコピー
  • →D:\xampp\setup_xampp.bat を管理者権限で実行(※右クリック→管理者として実行)
  • →D:\xampp\xampp-control.exe を管理者として実行(ショートカットを作っておくとよい)
  • →XAMPPコントロールパネル(=以下「XAMPPコンパネ」と称する。)が起動する


サービスとして登録する:

  • XAMPPコンパネ上で,ApacheとMySQLをそれぞれ「Stop」ボタンで停止させる。
  • →ApacheとMySQLについて,それぞれ「svc」にチェック。それぞれ「Cklick OK to install」のダイアログ上でOKを押下

(2−3)XAMPPのインストール完了を確認する。

基本的な動作:

  • XAMPPコンパネ上でApacheとMySQLをそれぞれ「Start」ボタンで起動
  • →ブラウザで http://localhost/ にアクセス
  • →XAMPPの初回設定画面が表示されるので「日本語」を選択
  • →XAMPPのトップページが表示される


サービスエントリ:

  • サービス一覧上で「Apache2.2」と「MySQL」が登録されていることを確認


※注:この時点で,「世界中に対してXAMPPトップページが公開されている状態」になるので,くれぐれも注意すること。
具体的に言うと,慎重を期すためには .htaccess を設定すること。