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PHPプログラマの年収について

10月末に下記のようなニュースがあった。


PHP開発者の7割がフレームワーク利用、デファクトは定まらず
http://sourceforge.jp/magazine/08/10/...


PHP開発者の69%がアプリケーション開発で何らかのフレームワークを使用した経験がある…

  • 使用したことがあるフレームワークは、「Mojavi」が24%、「CakePHP」が22%、
  • 今後使用してみたいフレームワークは、「CakePHP」が47%(前年32%)、「symfony」が43%(同33%)

(1)フレームワークについて言及した部分

アンケートの中でフレームワークに関する部分は,だいたい世の中の動向を反映しているように見える。


以前「今,Web技術者が「食べていく」ために必要な3つのスキル」の中で述べたように,今はフレームワークは既に「プログラミング言語経験の有無を判断するための指標の一つ」とみなされ,業務を成立させるために(そしてきつく言えば職を得るために)不可欠になりつつある。


現在までの事を考えると,MojaviはPHPフレームワークのさきがけ(2003〜)なわけで,Mojaviがよく使われてきたというのは納得できる。


今後については,PHP技術者が新しくフレームワークを習得したいという場合,上記アンケートに加えて下図が少し参考になるだろう。



http://www.google.co.jp/trends?q=Moja...


(2)年収について言及した部分

さて冒頭に挙げた記事には,どういう意図だかわからないが,所得に関するきわどい情報が付記されている。

(続き)

就労環境について、

  • 不満な点は「年収」(33%)と「教育環境」(31%)
  • 200万以上500万円未満が全体の63%、これらの層で年収に不満を持つ人は9割


この「9割を超えていた。」という部分で文章が終わっており,年収に関するアンケート結果にそれ以上の意味を持たせてはいないようだ…。



お金に関する事をあまりあれこれ言いたくないのだが,このアンケートは,よその集計結果と多少比較する必要があるように思う。


例えば,2年前にこのようなランキング集計があった。


転職に有利なプログラミング言語
http://blogs.itmedia.co.jp/ruchida/20...


米国の転職サイトにて調査:


プログラマとしての給与が高い順

  1. PHP
  2. C#
  3. Ajax


求人数順

  1. Java
  2. C言語
  3. C#


.NETへシフト中のマイクロソフト対応としてC#も頑張っていますが、PHPプログラマの「商品価値」はかなり高いようですね。

米国での調査なので事情が少し異なるだろうが,ここではPHPがなぜかトップに来ている。



また,今年2008年には下記のような調査結果が出た。


システムエンジニアの平均年収594万円,プログラマが409万円(棒グラフ付き)
http://www.atmarkit.co.jp/news/200804...

  • SE(とネットワークエンジニア)は年齢が上がるほど年収が上がっており、経験年数が年収に反映されやすい
  • プログラマは、年齢に比例した大きな年収の増加はないものの、40代以上の年収が大きく上がっており、ベテランになれば働き方次第で高収入

これもやはり転職サイト調べなので事情が全く同じわけではないが,原則は通じるものがある。つまり,

  • 年齢により賃金が大きく異なり得る。


これらの原則を加味すると,冒頭のアンケート結果について「母集団は?」という疑問が生まれてくる。


年齢に直結するわけではないが,回答者のプログラミング歴が掲載されている。


Q12. 他言語を含めたプログラミング歴を教えてください。
http://www.phppro.jp/article/phpconfe...

最多は,5〜10年


Q11. PHPプログラミング歴を教えてください。
http://www.phppro.jp/article/phpconfe...

8割以上の方は,5年未満

Q12を見ると,回答者の中心は20代ぐらいだろうか…?

またQ11と合わせると,どうも「最初からPHPをやっていた」という人が多いわけではなかったらしい。(Web+PHP自体が普及してきたタイミングもある。*3


そうすると,もし「年数的なベテラン層」をターゲットに限定したアンケートだったら,回答状況は少し異なったのかもしれない。


よく言われる点だが,次の3点は冒頭のアンケートにも反映されているだろう。

  • 業界的に「経験」が重視される。
  • 必ずしも年功序列を意味しない。特にプログラマ。
  • 上流の待遇はよい。(求められることも多いが)

経験と年齢にギャップが発生し得るというのは,

  • 「技術の流れが速く,最新のニーズを満たした者が勝つ」

という状況を表しているのかもしれない。


まとめ

まとめて一応,冒頭の記事から無理やり教訓を引き出すことを試みると,次のような無難な2点が浮かび上がる。

  • コツコツと経験年数を積むこと。もし年数が少ないなら,それは仕方ないので,まず「1つの領域を深める」努力をする。深めるというのは,内容的にも,また時間的にも。(ストック型)
  • フレームワークの例のように,最新のトレンドにアンテナを張ること(フロー型)

これらの面にバランスよく取り組むことが,SEに実益をもたらす努力目標なのだろう。


とにかくプログラミングが好きだから!という人の場合も,その好きな事をずっと続けていくためにはやはり食べて行く事が必要なわけで,上記2点は誰しもが意識しておいた方がよいと言える。




最後に,統計の見方に関する注意:

  • ここで挙げたような複数の調査が,互いに相関しているとは限らない(全く同じ状況には適用できない)
  • 回答者数の精度に注意。


※ちなみに回答者数

有効回答者数は、同カンファレンス参加者の約4割にあたる156人。"

参加者の半分弱。…



 

*1:派遣SEについても同じである。http://www.atmarkit.co.jp/news/200806/06/haken.html のエンジャパン調査によれば,平均時給は,プログラマで2206円,システムエンジニアで2316円。

*2: ITProの調査によると,http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081029/318097/ では,プログラマ503万円,SE633万円。

*3:自分の場合も,PHPはちょうど5年です。