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 外国語学習で行き詰った時の対処法 ・・・ (1) 文字と発音の段階において


ここまでの記事で,シンハラ文字のうち21文字を覚えた事になる。この一連の記事で扱う文字数でいえば,およそ半分となる。

恐らくこのあたりで,文字学習に対する「やる気」を補充しなおす必要が生じると思われる。

初心を思い出そう

新しく言語を学ぼうとする際,初めはその言語について何も知らない。

その言葉の文字がなじみのないものであれば,その言語で書かれた文章は,未知の世界そのものである。
見るだけで「こんな世界があるんだ」「世界には,こんな不思議な文字を使って日常生活を構成している人々が実在するんだ」と,わくわくするはずだろう。


ところが,文字を学ぶにつれ,少しずつ,自分が初めに持っていたその「未知さ」は失われていくかもしれない。

まるで不思議な形をしていた数々の文字は既知のものとなり,むしろ紛らわしい形状を見分けるための手間を負担に感じ始める事すらあるかもしれない。

知識や理解と引き換えに,初対面の際の初々しさが損なわれていく危険性が存在するのである。

これは語学学習の初期の段階,すなわち文字と発音の習得過程において,スランプを誘発する一つの要因になりうる。

はじめの感動を再現する

上記の問題を解決してやる気を取り戻すためには,簡単な方法がある。

つまり,初対面の感動を味わう機会を,もう一度持てばよいのである。


自分がこの言語の文面を一番初めに目にしたのはどういう機会だったか?

それが特定の書籍や,雑誌や,看板や,他のどんな有形物であったにせよ,もし可能ならばその現物にもう一度接してみるとよい。


そしてまず,一番最初にそれを目にした時の驚きや,あこがれの感情や,周りの人と共にその時に抱いた反応を,右脳を使ってありありと思い出すことがよいだろう。

進歩を実感してみる

次に,それによく目を通してみて,自分の現在持っている断片的な知識を用いてわずかながらでも解読を試みてみる。
アルファベットを半分も覚えた段階であれば,文面の中で少なからぬ部分の音を認識できるはずである。
それによって運が良ければ,何らかの固有名詞が書かれていることを独力で判別できるかもしれない。


このような体験は,初めに持っていたであろうモチベーションを再度わきあがらせる助けになる。


また,そのような,「自分にその言語への初対面を生んでくれた素材」は,のちのちの宝物になるだろう。



あるいはもし,自分がはじめにその言語に触れた素材そのものに現在出会う事ができないとしても,その言語が実際に生きて利用されているさまに触れるのも良い事となる。

シンハラ語であれば,例えば,スリランカ国の公式ウェブサイトのシンハラ語版がある。

The Official Website of the Government of Sri Lanka
http://www.priu.gov.lk/sinhala/indexs...

残念ながらWindows XPがUnicode対応していないため,上記のサイトのテキスト部はほとんど文字化けしてしまう。しかし,画像として埋め込まれている部分は文字をはっきり認知できるはずだ。(ちなみに,Windows Vistaではシンハラ文字を問題なくUnicode表示できる。)



学習の段階に応じてスランプの対処法も異なると思うが,ここでは,「自分が異質の文字にふれた最初の瞬間を思い出す」という方法を挙げた。

筆を使ってみるのはどうか?

シンハラ文字の場合,異質さを思い起こすには,今知っている文字を筆で書いてみるのがいいかもしれない。
筆がないなら,筆ペンでいい。クルクルと円を描きながら文字を書いていく方式をまねつつ,覚えたアルファベットを書きだしてみる。書き方が美しくなるように工夫してみる。そうすると,「自分はよくもまあ面白い文字を覚えたものだ」と思うはず。

こうした飾りっけは,文字の構造を比較分析する際にはむしろ覚えにくくする余計な要素となってしまう事があるが,折にふれて思い出すと,意欲の刺激になる。


シンハラ文字後半の記事が以降で続くが,執筆側としても,上記で述べたような「異質さ」の感覚を忘れずに取り組むようにしたい。